モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

2022-01-01から1年間の記事一覧

「誰かがこの町で」佐野 広実

ある高級住宅街で殺人事件がおきる。「安全安心」をうたう、誰もがうらやむ街。その背後には、暗い闇があった。=====この小説を読み始めて真っ先に思ったのは、やはり今の政治を始めとする組織の腐敗のこと。本来は社会全体のために行動すべき人たちが…

もっと事実に目を向けること

世の中には他人をだまそうとする人がいます。政治家だろうが宗教家だろうが、金持ちだろうが貧乏だろうが、日本人だろうがそうでなかろうが、関係なく、他人をだまそうとする人はいますよね。そういう人にだまされないようにするには、その人のことを注意深…

月食の夜

駅からの道、空を見上げながらキャッキャとスマホで写真を撮る高校生たちとすれ違いながら、「ふふ。私はマンションのベランダから俯瞰の街と広い空をバックに赤い月を撮影するのさ」と、彼らと月には脇目も振らずに帰ったものの、ベランダに出てみると角度…

徒歩通勤の謎

先日の朝の徒歩通勤。湊川神社の裏道に差し掛かかると、ページがバラバラになった本が石畳の道の上に広がっていた。旧仮名遣いの文、古い地図。どうやら戦前の本らしい。でも、何故こんなところに? 妄想が膨らんでくる。 =====昨夜、戦前の時代に住む誰かが…

「AI・ビッグデータの罠」キャシー・オニール

少し前から、時間が空いた時に少しずつ読んでいるのが、この本。私たちは、脅威的に進化するテクノロジーに目を奪われがちだが、だからこそ、目を向けるべきは、社会システムや倫理なのだ、ということをしさしてくれる。 AIなどのテクノロジーが急速に進歩す…

「一人でやること」の価値

youtu.be 夜中に目が覚めて、この映画を観ました。ユニークな、という言葉では全然足りない、他の誰にも作れない想像力と創造力に溢れた世界観に圧倒されました。 エンディングクレジットの声優や担当の8割方が「堀貴秀」という名前なのにびっくり。この映画…

「GDP2%」に騙されるな

「防衛費、GDP2%では足りない」−−−「まともな軍事国家」になろうと思えば当然こうなりますよね。たとえば、中国の軍事費25兆円、これと同等にしようとするなら、GDP5%は必要です。前にも書きましたが、GDPの2%は国の税収の2%ではないですからね。GDP2%は500…

コミュニケーションは幻想である

togetter.com この話、けっこう深い。以前から、人とのコミュニケーションってほとんど幻想かも、と思ってきました。だって、当たり前だけど人によって知識も経験も違うし、どんな考えも感じ方もその人の知識や経験に根ざしている。知識や経験を共有しないで…

「ただ毎日生きる」ということ

note.comこの記事に関連して、ちょっと思ったことを。世の中は今、副業が話題ですけど、僕はみんな二足の草鞋、3足の草鞋を履くのが自然だと思います。「仕事はひとつだけ」なんて固定観念に過ぎないと。仕事と趣味、オンとオフという区別も意味ないと思うん…

政治に入り込む宗教は「信教の自由」とは別の問題

今から24年前にこんなに具体的な指摘をしていたにもかかわらず、何も変わらなかったどころか、統一教会と自民党のつながりはより強固なものになった。そんな政党が、国の安全保障や外交や民主的な世界の実現をまともに担えるはずがない。日本の失われた30年…

統一教会は確信犯的政治カルトである

www.ifvoc.org 統一教会の反共政治団体、国際勝共連合。知れば知るほど、統一教会の政治への関わりの深さに、心底恐ろしくなります。 この反社カルトと持ちつ持たれつの関係を強め、日本を滅ぼす政策を実現しようとしている自民政権。こんなとんでもない組織…

政治に関わる宗教という悪〜勇気ある専門家に続け

日々明らかになる、政治家、特に与党自民党と、反社カルト団体旧統一教会のつながりの深さ。その闇の恐ろしさは増すばかりです。テレビの討論番組で、この団体の恐ろしさ・違法さを事実をもとに説明する、紀藤弁護士や橋本大二郎氏のコメントはすべて納得で…

都合よく「真実」を作り出す「知識人」

一般論として書きますが、これまでデータの可視化、という仕事をしてきて発見したのは、データはどんなふうにも見せられる、ということです。言うならば、データを可視化するとは、データという役者を使った演出。人為的な作業です。 だからといって、データ…

アルゴリズムが生む不平等

www.technologyreview.jp アルゴリズムが生む不平等、分断と対立。その背後にある侮辱。SNSは人々の対立を煽るよう「最適化」され続けている。この罠にはまらないためには、反論したくなった時に一瞬立ち止まって「その反論の矛先は本当は誰に向かうべきなの…

消費税は問題の多い税制だ

僕は、消費税は廃止すべきだと思います。あるいは少なくとも消費税徴収のシステムを変えるべきだと考えます。 その理由は、巷で言われる格差の是正や経済を良くするためだけでなく、今の消費税は税制として色々と問題があるからです。 その一つがこの消費税…

「超下請け社会」からの脱却

USBメモリ紛失事件に端を発して、巷では大企業の中抜きや何層にもわたる下請け問題が今さらながらにクローズアップされていますが、いやいや、そんなこと、みんなとっくに知っていたでしよう?と言いたくなります。そもそも政府トップ自らが「トリクルダウン…

「国民総自衛官制」の提言

安全保障と経済対策を両立する、素晴らしい政策を思いつきました。 話題になっている防衛費ですが、GDP比2%なんてみみっちいので、一挙にGDPの20%にします。30%でもいいです。これなら与党も大喜びでしょう。 その上で、高齢者から幼児まで国民全員を自衛隊…

防衛費倍増(GDP比2%)のまやかし

今朝の日曜報道PRIMEを見て大変驚きました。防衛費をGDP比2%に増額することに、国民の90%が賛成している、という調査結果が示されたからです。 心理学で「恐怖管理理論」というのがあります。 人間は、自分がいつかは死ぬ運命にあると意識すると、あらゆる誘…

ひろゆき氏と「自由」

少し前に4chanが話題になってて、そういえば彼の本は読んだことなかったな、と思って読んでみた。彼の基本思想は「自由」を最優先の価値と考えることにあると思う。そう捉えれば、彼の意見はけっして突拍子もないことではなく、逆にいたってまともなことを言…

緩い坂の思い出

学生の頃、帰省した実家から下宿に戻る時、いつも祖母と母親が見送ってくれた。家の前の緩い坂の先で僕の姿が見えなくなるまで手を振って。僕は、恥ずかしいから見送ってくれなくていいのにと思いながら、少し嬉しかった。 今はもう見送ってくれる人はいない…

ボーイング737MAXの事故に思う資本主義の退廃

https://omny.fm/shows/asahi/695?in_playlist=asahi%21podcast 徒歩通勤、最近のお気に入りは朝日新聞ポッドキャストだ。記者の取材裏話が面白い。新聞やウェブの記事が「よそ行き」なのに対して、ポッドキャストで話す記者はみんなくだけた感じで、なかな…

ボサノヴァな奴

ふと「ボサノヴァ」ってどういう意味なんだろう?と思って調べたら、ボサは隆起、ノヴァは新しい、で、「ボサノヴァ」は「新しい傾向」「新しい感覚」と言う意味なんだそう。 ところで日本語に「ボサッと」という言葉がある。大概は批判的な意味で、「ボサ…

ほめるスキル

Disciplineは日本語で「しつけ」と訳されるが、英語の”Discipline"には、「望む目的のために、自分の気の進まないことを実行する能力」というニュアンスがあるようだ。人間、楽しいこととだけやっているのでは得られないものもある。時には自分にとって辛い…

私の敵(茨木のり子「敵について」)

オーディブルで茨木のり子の詩の朗読を聞いている。詩集の選者は谷川俊太郎さん。鋭角な言葉。その根元を支える静かで強い意志。僕はまだ茨木さんのいる場所まで到達していないけど、かろうじて霞の先にたたずむ茨木さんのシルエットが見える。彼女は無言で…

人はすべてメタバースを持っている

「世の中」は、唯一無二の物理的存在ではなく、一人一人の心(意識)の中にある多様な存在なんだね。 人は五感を通じて外部世界の情報を取得し、脳の中に内部世界を築き上げる。人間が意識できるのは内部世界だけで、外部世界を直接知る術はない。 その人の…

「魔太郎がくる!」は弱いものの分身であり、味方なのです

藤子不二雄Aさんが亡くなられて、追悼の気持ちを込めて読み返したのが「魔太郎がくる!」。これはまったく真面目な話なんですが、僕は「魔太郎がくる!」を、今の子どもたちに読んでほしい、とずっと思ってきました。なぜなら「魔太郎がくる!」は、いじめら…

「魔太郎が来る」は今こそ読まれるべき漫画

子供の頃は「怪物くん」「魔太郎が来る」「プロゴルファー猿」、大人になってからは「笑うせぇるすまん」。藤子不二雄Aさん、すなわち、安孫子素雄さんの漫画には大きな影響を受けた。当時は、相方の藤本弘さんと二人のペンネーム「藤子不二雄」だったから、…

円谷プロが教えてくれたこと

togetter.com 少し前、ウルトラQとウルトラマンとウルトラセブンのブルーレイ・ボックスセットを買った。それくらい、「大の大人」になった今でも、円谷の作品が好きだ。でもそれは、単なるノスタルジーではない。作品そのものというより、作品を作った人た…

小さいことはいいことだ

今、永江朗氏の「小さな出版社のつくり方」を読んでいる。出版不況と言われる中、規模は小さいが個性的なアプローチで新しい「出版」を実現しようとしている小さな出版社を取材したものだ。この本を読み始めたのは、最近聞いているポッドキャスト「好書好日…

「起業家」という言葉への違和感

blog.btrax.comずっと違和感がある言葉のひとつに「起業家」というのがある。 僕はずっと、世の中の人々の多くが「フリーエージェント」=個人で仕事をする人たち、になることを夢見ているから、本来「起業」については肯定的ははずだ。でも、「起業家」とい…