今朝の日曜報道PRIMEを見て大変驚きました。防衛費をGDP比2%に増額することに、国民の90%が賛成している、という調査結果が示されたからです。
心理学で「恐怖管理理論」というのがあります。
人間は、自分がいつかは死ぬ運命にあると意識すると、あらゆる誘惑に負けやすくなる、というものです。
意識的にでも無意識にでもこの種の不安を感じると、何でもいいので安心感や未来への希望を得ようとする。この性質を利用して、人々に購買行動をうながす広告もけっこうあるようです。
ただ、恐怖が強すぎると人は無意識にそれを忘れようとするので、適度な恐怖をあたえるのが効果的なんですね。
少し遠くで起きている戦争とか、少なからず多からず一定数が死亡する疫病とか。
今朝の数字は、この「恐怖管理理論」が実際に当てはまることを示す、代表的なサンプルだと思います。
もうひとつのいかがわしさは、防衛費をGDP比でしか伝えないことです(政府もメディアもそのいかがわしさを知りつつ、わざとそう伝えてきたと思いますが)
「2%くらいならいいか」との印象を与えますが、防衛費は100%税金で賄われるのですから、GDP比ではなく税収比で考えるべきなのです。
直近のGDPは540兆円ほどですから、GDP比2%は11兆円弱。これは消費税収20兆円、個人所得税収19兆円の半分を超える額です。そして法人税収9兆円を超える額です。超巨大な歳出といえます。
いったい、防衛費をGDP比2%まで倍増することに賛成する人は、そういうことも踏まえた上で賛成しているのでしょうか。その見返りとして行政サービスや年金福祉が削られることを認めているのでしょうか。
僕は、防衛費GDP比1%でさえ、今の政府の財政状態からすれば多すぎます。もし日本国民の暮らしを少しでもまともにしたいのなら、防衛費はすぐにでも減らすべきです。