モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

最初の一文字

文章を書く仕事では、なかなか最初の一文字を書き出せないことがあります。早くやらなくちゃ、という気持ちを、もう少し待ったほうがいい、という気持ちが抑えるんですね。それは、その言葉がまだ自分の中で十分熟していないということに、自分自身が気づい…

誰もが生きていける社会

新型コロナの影響を受けた人はすぐにでも救わなければなりません。しかし、付け焼き刃の、人気取りやガス抜きの政策では、今の危機が去っても、必ずいつかまた同じ問題がやってくるでしよう。 誰もが生きていける、そんな世の中を作るのが、最低限の政治の役…

風街ヘブン

風街。松本隆さんが半世紀前、渋谷に夢見た理想郷。それと同じものを今、神戸に感じているそうだ。そんな話を聴くと、ひとつひとつの言葉がさらにきらきらと輝く。(写真は、相楽園で開催されている「風街ヘブン」から。寺門孝之の作品)

Mさんへのメッセージ

Mさん、昨日はメッセージありがとう。5年近く住んだアメリカから離れて、もう15年以上。最近はすっかり日本の文化に浸かって、アメリカにいた頃のことをどんどん忘れていってますが、米国に長らく住んでいるMさんや、何人かの米国在住のFacebookともだち…

未来への種を蒔くプロダクション「ミライ・プロ」の提案

<以下は、2019年、ナレッジキャピタル「ワイガヤサロン」の活動の中で作成した、2025年万博に向けた新しいプロジェクトの提案書である。一部、背景を知らないと理解しにくいところもあるが、原文のまま掲載する。内容の大筋は、以前から私がやりたいと思っ…

つかず離れず

人との関係において、「つかず離れず」という距離感は心地よい。近すぎると影響を受けすぎて時に煩わしくなるし、遠すぎるとその人に頼ることができない。ただ、そういう主観的な、ある意味で自分勝手な理由だけでなく、「つかず離れず」の関係は、二人の能…

あたらしいものは思いがけず生まれる〜井上ひさし「小説と芝居について」

www.audible.co.jp 昭和の庶民の文学者の代表格、井上ひさしさんの講演。1988年、昭和最後の年に行われたものだ。 第一印象。井上ひさしさんの話は、まるで即興の芝居のようだ。鋭い観察眼から得られた小さな発見や、博学に裏付けられた雑学に、あたらしいア…

「中国近代史を読む」浅田次郎

www.audible.co.jp今朝、「オーディブル通勤」で聴いたのが、浅田次郎さんの「中国近代史を読む」という講演。文藝春秋の文化講演会シリーズのひとつで、1998年の録音だ。タイトルはやや堅苦しいが、浅田さんの明るい語りで、肩肘張らずに聴くことができる。…

「勝手気まま」を取り戻せ!

www.msn.com 京都精華大学・サコ学長のオピニオン。全面的に同意する。 人間って本来、何も束縛がなければ、勝手気ままに行動する「個性的」な存在のはず。しかし、みんながバラバラだと社会がうまくいかないから、共通の知識やルールを学ぶ場所として学校が…

音楽が街を創り、街が音楽を育てる:「渋谷音楽図鑑」

www.ohtabooks.com 「渋谷音楽図鑑」を一気に読んだ。期待以上に面白い本だった。 著者のひとりで、この本の首謀者?である牧村憲一氏は、渋谷を拠点に、50年以上にわたって音楽業界に携わってきた人である。牧村氏自ら目撃してきた、渋谷の音楽カルチャーの…

ユーモアの中の矜持:「私の歩いてきた道」逸見政孝

www.audible.co.jp 毎日、続けている「オーディブル通勤」。朝夕の徒歩通勤が、これまで知らなかったこと、あらためて考え直すことであふれる、充実した時間になっている。とは言うものの、いくら素晴らしい講演でも、毎日だとこちらの集中力が切れて、すべ…

あらゆるものごとは重層的である:「初夏の対談」遠藤周作

www.audible.co.jp 「私は講演があまり上手ではありません」 つぶやくように話し始める、遠藤周作氏。登壇者とは思えない話しぶりは、謙遜というより「やる気の無さ」を感じてしまう。しかし、この「やる気の無さ感」は、人間のさまざまな面を見てきた小説家…

音楽が生まれる場所 柳瀬博一のリベラルアーツ入門・牧村憲一

www.audible.co.jp 以前書いたとおり、毎朝・毎夕の「オーディブル通勤」では、対談や講演が一番おもしろい。話し言葉なので聞き取りやすいし、だいたい1時間程度なので、情報の密度が濃いのだ。歩きながら脳を刺激するには、最高のコンテンツだ。 対談のお…

知への欲求とぶれない姿勢:城山三郎「人間的魅力について」

www.audible.co.jp 実在する人物を主人公にした経済小説・歴史小説を多数著した城山三郎が、人間の魅力について語った講演。 ==========「真珠王」と呼ばれる御木本幸吉。真珠の養殖とブランド化に成功し、後年は豪華な生活をした時期もあるが、もともとは三…

ちいさな「不正」を許す社会

Facebookで、ある研究者の方がこんな投稿をされていた。 日本の研究者は,学会参加費を科研費等で請求するにあたって,研究者は昼飯付きランチオンセッションの有無を調べその分を食糧費から差し引き,事務はこれが適正になされていることを三重くらいに確認…

江藤淳「菊池寛と芥川賞」

www.audible.co.jp 江藤淳「菊池寛と芥川賞」。菊池寛の「弟子」であった小林秀雄の、そのまた弟子であった江藤淳氏が語る、菊池寛。1987年10月の菊池寛生誕百周年記念講演会での録音。———————日本人なら知らない人はいない、直木賞・芥川賞。この偉大な文学…

熱意と厳しさと寛容:松下幸之助「私の自叙伝」

www.amazon.co.jp 今朝の「オーディブル聴講」の講師は、松下幸之助。「私の自叙伝」と題した、ひとり語りで、オリジナルは昭和37年のNHKのラジオ番組だそうだ。 録音は松下幸之助が松下電器の社長を退任した翌年で、少し自由になった立場で、自分が事業をは…

僕が「オーディブル通勤」を始めたわけ

少し前、自転車を盗られた。毎日、自宅からオフィスまで、約4kmの距離を自転車で通勤していた。その日は昼から雨になって、帰宅の頃になっても降り続けていたので、朝乗ってきた自転車をおいて電車で帰ることにした。翌朝、再び電車で仕事場に来てみると、昨…

バック・トゥ・ザ・フューチャーの”メイド・イン・ジャパン”

jp.quora.com映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の有名なシーン。「1855年に埋めた「デロリアン」を100年後の1955年に掘り出すが、上手く動かない。 小さな部品が壊れてしまっていたたためだった。それに気が付いた1955年のドクはその部品を手に取り、…

腐敗は悪のボスキャラ

www.ted.com 世の中に悪いことはたくさんあるけど、その中でも政治の腐敗や不正は悪のボスキャラだと思う。なぜって、政治における「腐敗」や「不正」は、人間にとってとても大事な、誠実さや努力や思いやりや夢といったものを、奪い去ってしまうからだ。誠…

僕は毎日、投票している

僕は毎日、投票している。そんなことを言うと、嘘を言うな、と非難されるかもしれない。選挙は毎日やってないよ、と。そのとおり。もちろん、選挙はやってない。僕が言う「選挙」は、本物の投票ではない。ただ、「選挙」という言葉が、市民としての「意思表…

すぐ忘れる

最近、自宅からオフィスまで、歩いて通っている。少し前までは自転車を使っていたのだが、なくなってしまったのだ。撤去されたのではないようなので、おそらく盗まれたのだろう。すぐに代わりの自転車を買うわけにもいかず、もともと健康のために、電車をや…

どうせ後悔するなら

生きていると後悔することだらけだ。間違ったことを信じてしまった後悔。 それを他の人に伝えてしまった後悔。 逆に、これは違うな、と思ったのに何も言わなかった後悔。最悪なのは、自分は違うと思ったのに、他の人がそうしているからという理由でそれに従…

小保方さんの実験ノートと記録することの大切さ

少し前、世間を賑わした「STAP細胞事件」。理化学研究所の小保方晴子さんが発見したSTAP細胞は、実は捏造だったのではないか、という疑惑が強まり、さまざまな検証が行われた。STAP細胞が存在しないという結論にいたった、その傍証のひとつに、実験に関する…

「オオカミと少年」のメディア

「オオカミと少年」という童話がある。イソップ童話のひとつで、原題は「嘘つき少年」というらしい。その内容は誰でもしっているだろう。羊飼いの少年が、ひまつぶしに、「オオカミが来た!」と嘘をつきはじめる。村人は最初とまどうが、やがて少年の言葉を…

ほんとうの顧客満足を

アップルが、マスクを付けている人でもログインできるようにiPhoneの顔認証システムを改良中、という記事がSNSで流れてきた。反射的に「さすがアップル」だと思った。 新型コロナの波を受けて、毎日マスクをつけて生活していると、iPhone(正確にはiOS)の顔…

「緊急事態」の議論で見落としがちなこと

digital.asahi.com 憲法学者・石川健治さんのオピニオン。今話題の「緊急事態」について、私たちが何を見落としているのかに、気づかされる意見だ。 「犯人は身内にいる」という視点 緊急事態の議論には2種類あります。何が緊急事態かを問題にし、独裁権力…

【西元町ニュース 2020年4月3日】発酵食品に感染せよ!ある町の食堂の生き残り戦略

飲食店に大逆風が吹き荒れる中、西元町のカッコいい野菜食堂・堀江座が、持ち帰り専門店に変身した。店主の 堀江 斉 (Sei Horie) さん(40才くらい?)は「三日間、国内外のさまざまな情報を見て、これしかないと思った」と、突然のリニューアルに踏み切った…

小咄

各国の首脳が乗りあわせた船が、大洋の真ん中で突然、沈没しはじめた。自国のリーダーを救うため、それぞれの国の民間船会社は救助船を派遣した。危険を顧みず、自発的に救助にやってきた自国の船会社の社員に、各国のリーダーは次のように述べた。 習近平「…

"Social Distancing"と"Social Distance"は意味が違う

Facebookで、翻訳家の青木 薫さんのコメントをみて、はじめて知ったのだが、"Social Distancing"と"Social Distance"は、意味が違うのだそうだ。 今、新型コロナウィルス対策としてやっている「人と人の距離を十分取る」ことは、"Social Distancing"が正しい…