モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

叡智の対談「人間の建設」

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買ったけど読んでない本があまりに溜まりすぎたので、少しずつ読む努力をしています。この本は、時間が空いた時に読もうとカバンの中に入れていたのに、カバンの中に入れていたことを忘れて、長らく持ち歩いていただけの本でした。先日、カバンを変えた時に無事「救出」され、その償いに読み始めたところ。

 

うん、面白い、です。特に岡潔は、ものごとを端的に、時に突拍子もないことをいいながら、その考えに妙に納得してしまう。常に考えている人は、凡人が想像するよりはるかに広い世界で考えているのだろうな、ということがかろうじてわかる気がします。

 

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数学の体系に矛盾がないと言うためには、まず知的に矛盾がないと言うことを証明し、しかしそれだけでは足りない、銘々の数学者が皆その結果に満足できると言う感情的な同意を表示しなければ、数学だとは言えないということが初めてわかったのです。実際考えてみれば、矛盾がないと言うのは感情の満足ですね。人には知情意と感覚がありますけれども、感覚はしばらく省いておいて、心が納得するためには、情が承知しなければなりませんね。だからその意味で知とか意とかがどう主張したって、その主張に折れたって、情が同調しなかったら、人は本当にそうだとは思えませんね。そういう意味で私は情が中心だと言ったのです。その事は、数学のような知性の最も端的なものについてだって言えることで、矛盾がないと言うのは、矛盾がないと感じる事ですね。感情なのです。
岡潔