モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

雑感 2018年10月

10.14

"生徒が知らなければならないことを教えるのが教育だ。生徒が理解できないなら、理解できるように工夫するのが筋である。「理解できない人がいるから教えないようにすればいい」というのはもはや教育ではない。単なる教育の放棄だ。

 そもそも「数学は理系の教科」という考え方が現実にそぐわなくなってきている。文系とされている経済学、社会学、心理学といった分野でも、統計をはじめとした数学の手法が多用されるようになっている。理系はもちろん文系でも、数学の重要性が増すことはあっても減ることはない。"

tech.nikkeibp.co.jp


確かに、「量が減った」とか「○○を教えなくなった」(だからだめ)という表面的な話はあまり意味がないですね。

高校でも、現在の生物学なんかは、僕たちの頃には教えてくれなかった(教えられなかった)DNAの構造やタンパク質合成みたいなことも教えているようだし、ある分野では昔よりはるかに高度なことを教えていますよね。

少し話がそれるかもしれませんが、先日、ある大学の先生が、大学教員を論文の数とか引用数で評価するのはまったく意味がない、と断言していました。論文数を増やしたいなら、本来はひとつの論文にまとめられるものを小分けするようになるし、数しか見ないから論文の質がどんどん落ちていると。最近、それこそ高校数学レベルの微分を間違っている論文もあった、と嘆いてました。

また、引用数を増やすのも、要するに「1+1=2」みたいな自明の論文をひとつ書けばいいだけだから、やっぱり意味がないと。たとえば、もし今、アインシュタインみたいな天才が論文を書いたとしても、さっぱり引用されないだろう。将来世の中を変えるようなすごい論文は、今の人たちには理解できないから、と言われてました。

で、高校の話に戻ると、僕も国語と数学は賛成です。僕の恩師の松田先生は、最後は「読み書きソロバン」と言ってます。僕の大学時代の授業では、「今、君たちに最先端のことを教えてもすぐ古くなるから、ここでは徹底的に基礎を教える」と言って、本当にそういう授業でした。教科書に乗っている基礎方程式を、そもそもその式がどうやって導かれるのかを、ほとんどゼロから理解するような授業でした。

その時は勉強も大変だし、そんなことをやる意味がわかりませんでしたが、その時学んだ「考え方の考え方」みたいなものは、まったく違う仕事をしている今でも役立っているように思います。何ごとも基礎の基礎まで立ち返れば必ず理解できるし、そうしないと本当には理解できない、という確信みたいなものがあるんでしょうかね。




10.18

男女平等の視点だけでなく、有能な人を認めなければ、社会はどんどん劣化するよ。

そんな奴らが「先生」って呼ばれる社会、ほとんどコメディーだな。

教育に限らず、「世の中はカネとコネ」とかうそぶき、イエスマンばかり集めて「適材適所」としらを切る者が幅を利かせている限り、日本の凋落は加速するだけ。

女子評価、一律1段階下に 追加合格決定、学長へ一任 不適切入試、複数大で判明:朝日新聞デジタル


10.19

「どんな阿呆でもものごとを複雑にすることはできるが、単純化するには天才がいる」。
E. F. シューマッハー

“Any fool can make things complicated, it requires a genius to make things simple”
― E.F. Schumacher



10.21

近々、ホワイトアルバムの50周年記念エディションが発売されるそうだ。

ビートルズを初めて聞いたのは中学生になってすぐ。FM放送をカセットテープに「エアチェック」して、本当にテープが擦り切れるくらい毎日聴きまくった。

ただ、このホワイト・アルバムだけは、夜、1人では怖くて聞けなかったのだ。

ヘルタースケルター」とか、「レボリューションNo.9」とか、エクソシストのテーマ曲(あれもトラウマ)並に怖くて、それらを聴いた後は、「ワイルド・ハニー・パイ」や「コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロウヒル」さえ不気味に感じてきて…。

50週年記念エディションは、マルチテープからのリミックスも興味深いけど、メンバーがジョージ・ハリスンの家に集まって、全編アコースティックで弾いた「イーシャー・デモ」は、なんとしても聴きたい。

もう一人でも怖くないし笑!

www.youtube.com



10.26

「2019年10月の消費増税に備えた景気下支え策を巡り、財務省総務省マイナンバーカードにためられる自治体のポイント制度を「プレミアム商品券」に活用する検討に入った。」そうだ。

そもそも消費税の導入には、反累進課税、すなわち、所得の多少によらずに税を負担させたいという意図があるわけだから、そこに低所得者対策を入れるなんて矛盾してる。小手先のごまかしにしか見えない。

それに「プレミアム商品券」って何なんだ? 国政・国税の変更を商品やサービスの「販促」としか見てないみたい。携帯電話の販売で「実質0円」とか言うのと同じ手口だよねー。それに必要なコストは?

「プレミアム商品券」を導入するんじゃなくて、消費税は不要ってことになるんじゃないの?

なんかバカにされてる気がするな…。



10.29

"多様性を必要としている時代とは、
多様を思いつけない膠着した時代の別名である。

「バカとワル」に期待する時代とは、
ほんとうは「芸術」が、
その役割を果たせてない時代とも言える。

「バカとワル」に匹敵するパワーを持った
「アート」が、いつ出てきてもいいはずだ。"

糸井重里