モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

創造とは伝達と合成である

自分が「これは自分の信念だ」と思っていることも、実は自分で考え出したことではなく、誰かから与えられたものだったりする。


自分が考えたことだ、と信じていても、それは昔、読んだ本に書いてあったことだったり、誰かに言われたことだったり、他人がやっていたこどだったりする。気づいていようがいまいが、真の「オリジナル」なんてない。かなりの「思想家」であっても、自分自身の思考の中で見つけたことなんて、ほとんどないんじゃないだろうか。


ただ、ある考えが100%外から与えられたもの、ということでもないと思う。外から与えられたものを内に取り込む時、自分自身の体験や別な考えと組み合わせて、少し変化しているはずだ。ある考えが人から人に伝わっていく時、「考え」は少しずつ変わっていく。


つまり、人間は「伝達マシーン」であると同時に「合成マシーン」でもある。普段、意識するかしないかは関係なく、人間は常にあたらしい考えを外から取り込み、それを頭の中でミキサーみたいに混ぜて、またあたらしい考えを作っている。その考えを、また他の人に伝えて、そこで合成されて、考えはさらに変化していく。


伝達と合成。人間の創造力を分解すれば、結局、この2つの単純な作業を、繰り返し、ひたすら続けているだけなんじゃないだろうか。

人類は有史以来、壮大な「伝言ゲーム」をやっているだけなのかもしれない。でも、それはけっして単調でつまらない作業ではなく、カオス理論のように、単純な作業から複雑な結果が現れる、「人知を超えた」な営みなのだろう。