モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

ものすごいこと

今まで生きてきて、その中で見たこと、知ったことの中で、何が一番ものすごいことかって、芋虫がサナギになって蝶になる、あれほどすごいことはない。

今まで葉っぱの上で、うだうだと生きてきた幼虫が、「もうすぐ空飛べますよ」ってなって、サナギという生きてるのか死んでるのかわからないモノを経て、一週間ほどでまったく違う体になってしまう。空まで飛べてしまうのだ。これぞ黒魔術かと思うくらい、ものすごいことだ。(それに比べると人間の一生は代わり映えしない。驚きのない、いたって平凡なものだ。)


でも、大人になると、そんな虫たちが見せてくれる「ものすごいこと」に目を向けることもなくなってしまう。そういう「ものすごいこと」を見ていたのは、子どもの頃だけなんだ。


だから、大人はつまらない。大人自身もつまらないと思ってるだろうけど、それだけじゃなく、外からみて、非常につまらない生き物なのだ、大人は。毎日、当たり前のことをみて、当たり前のことをやっているだけ。感動のない日々にボーッとしているうちに、時間だけがすぎていく。子どものように「ものすごいこと」に出会うことはめったにない。というか、近くにある「ものすごいこと」が見えていない。


大人も、たまに「ものすごいこと」をみてみれば、今自分が悩んでいることや、手に入れたいと思っていることが、なんと小さなことか、と思えるんじゃないだろうか。


大人と子どもの違いって、体格とか脳の発達とか、そういうのではなくて、「ものすごいこと」にどれだけ触れようとしているかだけなのかもしれない。子どもの頃、楽しかったのは、幼くて経験がないから何でも楽しく思えたのではなくて、本当に「ものすごいこと」に出会ってたからだと思う。


子どもが明日に希望を持てるのは、まだ知らない「ものすごいこと」がたくさんあって、明日、また新しい「ものすごいこと」に出会えると、心から信じているからなんだろう。