モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

「立場」と言う怪物から逃れる生き方

先日、「国民総自営業制を提言する!」というブログを書いたら、「それって結局、経営者の立場で労働力を安易に使おうと言う魂胆では?」と言う反論を受けた。これは思っても見なかったことなので、もう少しこの提言について説明したい。

 

僕は、大企業で約15年、エンジニアとして働いた。会社員当時もっとも違和感を覚えたのは、組織では「立場を踏まえた行動」が最優先されると言うことだ。「この会社の社員なのだから、会社の利益に反することをしてはいけない」と言う制約。一見まともな考えに思えるが、実際はもっとレベルの低い動機、「こんなこと言ったら上司に怒られる」「これをしたら出世できない」と言うような行動原理が、知らぬ間に幅を利かせるようになる。

人間は誰しも社会に認められたいと言う欲求を持っている。本来は個人対社会全体でその欲求を満たすべきなのだが、組織に属することによって知らず知らずと、社会=組織と言う狭い視野になる。その結果、いつの間にか上のような思考パターンに陥ってしまう。いわゆる「ムラ社会」と言うやつだ。もっと怖いのは、上司や経営者に直接命令を受けたわけでもないのに立場上こうしなければならない、と勝手に思い込んでしまう状況だ。それはまるで、「立場」と言う実体のない怪物に支配されてしまったゾンビ状態で、傍から見ればかわいそう、あるいは滑稽にさえ見えるのだが、自分自身を見失ったは自分だけは気づくことがない、と言う悲惨な状況だ。

 

組織に属しながら組織の圧力に抗するのは、ものすごくエネルギーが要ることだ。たまにそのような人に出会うと、ただ尊敬するしかなく、僕にはそんなことはできないと思うし、おそらく多くの人にも難しいだろう。僕のような普通の人が自分自身を取り戻すためにできること、それが「組織に属さないこと」、つまり「自営業になること」だと僕は思う。

 

つまり、「国民総自営業制」はけっして一部の経営者の道具になれと言うのではなく、逆に、組織の制約を離れて一人の人間として生きる権利ーーーー権利と言うと政治的な響きがあるので僕は「生きる力」だと言いたいーーーーを取り戻すことだと思っているのだ。

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