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モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

<野生の研究者>はウケを狙わない

http://niconicogakkai.jp/nng3/

昨日、ニコニコ学会βをオンラインで観た。オフィスで仕事をしつつの「ながら見」だったが、逆に言えば、仕事をしながらでも観たいくらいに、このニコニコ学会βを楽しみにしていた。特に楽しみにしていたのは最後のコーナー「研究してみたマッドネス」、通称<野生の研究者>たちのプレゼンだ。

 

ユニークな発想や行動力で、プロの研究者・技術者には思いもつかない「研究開発」をやっている人々が日本には多数いる。正確に言うと、そういう人たちの大半は、自分がやっていることを「研究開発」だとは思っていないだろう。自分が楽しいからやっている。ただ、それだけだ。しかし、<野生の研究者>の成果は、時に、研究開発を本職としているプロの研究者や技術者にも負けない。負けないどころか、世界的にも貴重な発見や発明がそこから生まれることもある。何が役に立つのか、ではなく、何が面白いか、と言う素朴で純粋なアプローチは、本来の科学技術のあるべき姿、もっと言えば、人生を楽しむ理想の姿があると思うのだ。(在野の研究者については、以前書いた科学におけるプロとアマ - モノオモイな日々 (Lost in Thought)も見て欲しい。)

 

しかし、昨日のニコニコ学会βには失望した。事前の期待が大きかったからだけではない。研究の内容自体は面白かったし、レベルの高いものもあったと思う。しかし、登壇したプレゼンターの多くは、似非<野生の研究者>にしか見えなかった。その典型的な行動が「ウケ狙い」のプレゼンだ。へたな「計算」が見え見えで、悲しくなった。その人の生来の<野生>から来るマッドネスであれば、ウェルカムだ。でも、本当は<野生>は持ってないのに、何かおかしなことを言ったりやったりして、マッドネスを装う。とにかくウケればばいい、と姿勢が表に出るほど、<野生の研究者>から離れていく。そもそも<野生>には「計算」は似合わない。

 

僕が観たいのは、興味のおもむくまま、周囲を気にせずそのテーマに取り組む姿勢であり、そこから得られた世界で唯一の成果だ。(そんな人に出会えたら、ニコ動のコメントに心から「88888」を書き込むだろう。)学会にもテレビにも取り上げられない研究。でも、それがどうした、という開き直り、と言うか、悟り。そういうものが、先が見えない世界の未来を照らしてくれる希望だと思うから、僕は<野生の研究者>に期待するし、できればその一員になりたいと思うのだ。

うわべのウケねらいはもうやめて、本物の<野生>を追求してほしい。それが、未来へむかう、本物の自立につながるのではないだろうか。