モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

オープンとシェアによる近未来のアクティビティ・モデル:授業計画販売サイト・TeachesPayTeachers.com

http://www.teacherspayteachers.com/

 

先進的なテクノロジーやユニークなアイデアがあふれるスタートアップ・ビジネスには、明日のGoogleAppleが出てくるかもしれないと言う期待がある。技術とアイデアとやる気があれば、誰でも世界を変えるチャンスがある。そんな「わくわくした気持ち」を与えてくれる。ユーザーとしてもベンチャー経営者としても、大きな刺激を受ける。

 

そんなスタートアップの中でも、最近もっとも刺激を受けたのが、"Teachers Pay Teachers"だ。直訳すると「教師が教師に支払う」と言う名前のこのサイトは、教師同士で授業計画を売買するサイトだ。

 

このサイトについての解説は、StartupDating解説記事にまとめられている。70万ドル(6000万円近く)を売り上げた幼稚園の先生もいることに驚いた。現代は、「授業計画を商売にするなんて」と言う非難の声よりも、「授業計画で商売ができるなんて」と言う賞賛の声の方が大きい時代なのだろう。

 

しかし、このサイトに刺激を受けたのは、オンラインショップとしての成功だけではない。このサイトのアプローチに、近い将来のビジネスのエッセンスが詰まっていると感じたからだ。そのエッセンスとは次のようなものだ。

 

+知識(情報)と言う無形のものを商材にしていること

+その商材は、売り手が自ら考え、自分の手で作ったものであること

+特定の層(この場合は教師)に特化し、自発的で強力なコミュニティが作られていること

+参加者は、買い手にも売り手にもなれること

+売買(ビジネス)よりも、社会貢献(ソーシャル・アクティビティ)の感覚が強いこと

 

以上は、それぞれが相互に関係しており、もっと端的な整理も可能かもしれない。言いたいのは、今、世界中の人々が暗黙知的に共有しはじめているある感覚が、これからのビジネス………「ビジネス」と言う表現自体が既に古めかしい。仮に「アクティビティ」と呼ぼう………にとって非常に重要なのではないか、と言うことだ。

 

その感覚とは、「オープンとシェアをベースにした、自発的なコミュニティによる、社会への貢献につながるアクティビティ」だ。逆に言えば、そういう感覚がない旧来の「ビジネス」は、過去のものと見なされ、やがて人々に受け入れられなくなっていくのではないだろうか。

 

"TeachersPaysTeachers"は、この共有感覚をぴったりと具現化した新しいビジネス……いや、アクティビティであり、僕を含めたスタートアップを目指す人にとって、重要なエッセンスを学ぶことができる良いお手本になると思う。