モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

「魔太郎がくる!」は弱いものの分身であり、味方なのです

藤子不二雄Aさんが亡くなられて、追悼の気持ちを込めて読み返したのが「魔太郎がくる!」。これはまったく真面目な話なんですが、僕は「魔太郎がくる!」を、今の子どもたちに読んでほしい、とずっと思ってきました。なぜなら「魔太郎がくる!」は、いじめら…

「魔太郎が来る」は今こそ読まれるべき漫画

子供の頃は「怪物くん」「魔太郎が来る」「プロゴルファー猿」、大人になってからは「笑うせぇるすまん」。藤子不二雄Aさん、すなわち、安孫子素雄さんの漫画には大きな影響を受けた。当時は、相方の藤本弘さんと二人のペンネーム「藤子不二雄」だったから、…

円谷プロが教えてくれたこと

togetter.com 少し前、ウルトラQとウルトラマンとウルトラセブンのブルーレイ・ボックスセットを買った。それくらい、「大の大人」になった今でも、円谷の作品が好きだ。でもそれは、単なるノスタルジーではない。作品そのものというより、作品を作った人た…

小さいことはいいことだ

今、永江朗氏の「小さな出版社のつくり方」を読んでいる。出版不況と言われる中、規模は小さいが個性的なアプローチで新しい「出版」を実現しようとしている小さな出版社を取材したものだ。この本を読み始めたのは、最近聞いているポッドキャスト「好書好日…

「起業家」という言葉への違和感

blog.btrax.comずっと違和感がある言葉のひとつに「起業家」というのがある。 僕はずっと、世の中の人々の多くが「フリーエージェント」=個人で仕事をする人たち、になることを夢見ているから、本来「起業」については肯定的ははずだ。でも、「起業家」とい…

市民にとって戦争には「負け」しかない

ウクライナとロシアの軍事衝突が始まって1ヶ月以上がたった。この出来事を「侵攻」というべきか「侵略」というべきか、あるいは「戦争」というべきか、などという言葉の問題はどうでもいい。とにかく、メディアは日々変わりゆくウクライナの状況を、ほぼリ…

「プライスレスな価値」を守ること

president.jp 以前、あるクレジットカード会社が、「プライスレス」をキーワードにしたテレビコマーシャルをやっていた。蛇足だと思うが、「プライスレス」というのは、もちろん「無料」という意味ではない。「値段がつけられない(ような価値)」という意味…

見える世界で思考は変わる

「他の人に見えている色は、自分が見ている色と同じなのだろうか?」そんな疑問を、誰しも一度は持ったことがありますよね。仕事で映像に関わるようになって、たまに「この人は絶対自分と違う色を見ている」と思うことがあります。「ここ赤みが強すぎない?…

上に立つ者には徳がなければいけない:論語と算盤

honto.jp 聴いて思うのは、人の考えることも人の問題も、百年前も今も同じだな、ということ。つまり、今でも示唆に飛んだ本。官でも民でも、上に立つ者には徳がなければいけない、とますます思う。明治の時代は、たとえば実況界のトップに渋沢のような人がい…

メタバースという平等

「メタバース」のようなバーチャルワールドの意味があるとすれば、それは、外見や肩書きや属性に惑わされずに生きていくことができる世界ができる、ということかもしれない。 外見や肩書きや属性を自由に選択できる世界では、そういうものの魅力や意味がなく…

「映画『ジョーカー』の地上波放送禁止」に感じたこと

映画「ジョーカー」の地上波放送禁止する、というニュースを見た時、直感的に、それはおかしくないか、と思った。しかし、その時は、うまく言葉にできなかった。今もできない。でも、この違和感を忘れてしまわないよう、何か書いておきたいと思う。 その違和…

スタートアップの目的は資金調達じゃないでしょ

https://blog.btrax.com/jp/fund-raising/ 以前、どうすればスタートアップが育つか、という主旨の会議で、「巷ではよく《〇〇社が○億円資金調達に成功!》みたいな記事があるけど、なんの意味もない。自分らで必要な資金を準備できないから、よく知らない人…

日本は50年前の方が進んだ国だった

syowa-kayo.net 1970年の大坂万博は、万博史上もっとも多くの新興独立諸国を受け入れた万博だった。非西洋で初めての万博だったからこそ、フラットな世界を実現できた。 そんなことを以前、万博学の先生から聞いた。 1960年代に一世を風靡した漫画・アニメ、…

企業中心主義から脱却せよ

これまでの日本の政治(つまりは自民党の政治)は、要するに「企業中心主義」であり、「企業社会主義」だと思う。たくさんの補助金、助成金を企業にばら撒き、企業もそれをあてにして経営している。 しかし、たとえば、新商品の開発を支援する補助金・助成金…

面白いと思うことを我慢するのは罪

digital.asahi.com 「好奇心に基づく研究こそが重要」。これは深刻で根本的な指摘だと思う。 研究に限らず他の分野でも、「好奇心」がどんどんなくなっているように感じる。その原因は、「管理主義」や「計画主義」なる、中途半端に頭がいい(悪い)人たちが…

多くの人が自殺を考えたことのある社会に未来があるのか?

digital.asahi.com 毎朝、徒歩通勤をしていると、途中でたくさんの高校生とすれ違う。みんな活気がある、とは言わないが、明らかに元気がなく落ち込んでいる、と感じる生徒はほとんどいない。しかし、その3割か4割は、「本気で死にたいと考えたことがある…

「当確」はいらない

選挙で「当確」報道ってありますよね。あれ、やめたほうが良くないですか。 どのメディアがいち早く当確を出すかを競ったりするらしいけど、なんの意味もない。 それどころか、害悪。 選挙区によっては開票が始まった瞬間に当確がでる。あるいは、現時点の開…

市民と公民

www.jstage.jst.go.jpSNSで、苅部直さんの「『市民』とは誰か」という小論を知り、読んでみた(J-StageのサイトからPDFを無料でダウンロードできる)。「市民」も「公民」も、単なる「住民」ではなく、積極的に政治活動を行う人々を指す。「公民」という言葉…

アスヘノキボウ

好きで文句や愚痴をいいたい人なんて、誰もいない。ただ、明日への希望が感じられないから、つい文句や愚痴がでてしまう。何かに憎しみを向けてしまうんだ。 もし明日への希望があれば、誰もが他の人を助けたい、協力したいと思えるようになるんじゃないだろ…

星野道夫の文章

今日しか行けないかも、と思って、行ってきました。星野道夫さんの写真展。 写真が素晴らしいのはもちろんですが、星野さんの文章に、とても心打たれました。 アラスカの自然と周りの出来事の描写、その中で生まれる自身の想いが、静かで力強い言葉で綴られ…

森見登美彦ワールドにはまる(朗読で)

www.audible.co.jp 森見登美彦。彼の高い評判、とりわけ芸術系諸氏からの絶賛が気になりつつも、その独特の雰囲気に近寄りがたく、でも近寄ってみたく、勇気を出してAmazonプライムでアニメを観てみたものの、表現のあまりの濃密さに早々と退散。彼とは縁が…

「天引き」やめれば、個人は自立できる

woman.nikkei.com 出口治明さんのおっしゃるとおりだと思いますが、もっと言いいたい。所得税や社会保険を、勤め先が肩代わりする、すなわち「天引き」するしくみを廃止すべきです。 曲がりなりにも経営者をやってみたわかったのは、「天引き」制度は、授業…

テクノロジーと一体となった未来のスポーツ〜パラリンピック2020を観て

正直なところ、僕はパラリンピックというイベント自体に賛成ではなかった。それは、コロナ禍とは関係なく、オリンピックとパラリンピックを分けることに違和感があったのだ。オリンピックとパラリンピックは一緒になるべきだ、と本気で思っていたし、そうい…

「外野の口出し」が世の中をつまらなくする

昨夜のパラリンピックの開会式、その時間は他に色々やることがあって、細切れの「ながら見」だったのですが、自然と引き込まれる、素晴らしいショーでした。何より、ひとつの統一された世界感に貫かれていることがよかった。その背後には、この記事にあるよ…

曖昧さとリーダーシップ

世の中のほとんどのことは、あいまいで矛盾に満ちている。それを知っている人は、物事を単純化しない。 物事を単純化し、わかりやすい言葉を発することをリーダーシップと誤解してはいけない。リーダーシップとは、複雑な物事の様々な可能性を考え、それらに…

アフガニスタン問題で思うこと

jbpress.ismedia.jp 中東情勢に詳しい元外交官で知人の、山中 俊之さんによる記事。ここしばらくアフガニスタンについての報道を見ながら、何か一面的な伝え方だなと感じつつも、自身の中東に関する知識が不足しているため、何が間違っていて、何が報道され…

叡智の対談「人間の建設」

買ったけど読んでない本があまりに溜まりすぎたので、少しずつ読む努力をしています。この本は、時間が空いた時に読もうとカバンの中に入れていたのに、カバンの中に入れていたことを忘れて、長らく持ち歩いていただけの本でした。先日、カバンを変えた時に…

常夏史観:歴史に学ばないアホ

mainichi.jp 「常夏史観」とは、言い得て妙なり。まずい事実は隠蔽し、不都合がばれたら「ご指摘には当たらない」の一言のみで、何も説明しないし、何も変えないし、誰も責任を取らない。そんな政治をずっとやってきて、コロナ禍もそれで乗り切れると思って…

森山未來のパフォーマンスが運んでくれたもの

www.huffingtonpost.jp 東京オリンピック開会式。一番心に残ったのは、森山未來のパフォーマンスだった。僕は普段、舞踏を見ているわけでもないし、興味があるわけでもない。でも、何かすごく伝わってくるものがあった。 ただ、そう感じながらも、それを言葉…

今朝、いじめられる夢を見た

今朝、いじめられる夢を見た。夢の中の僕は、どうも小学生らしい。顔は見えないが、誰かが僕の足を引っ張っている。僕の足は曲がり、伸びる(夢なので非現実的な部分もある)。「これは間違いなくいじめだ」、と思った。しかし、小学生の僕はいじめられなが…