モノオモイな日々 Lost in Thought

過去の覚書、現在の思い、未来への手がかり

「メディア・コントロール」

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メディアが時の政治と結びついてきたことは、だれでも知っている。現在の日本の首相は、自分が攻撃されるとすぐに「印象操作」「レッテル貼り」と反論するが、それは裏返せば、「メディア・コントロール」は政府の専売特許であり、他の人たちが同じ方法を使うのは許さない、という本音の現れなのだろう。

ぼくたちが日頃感じている、政府とメディアがぐるになった「印象操作」について、早くから、緻密に、そして、おそらくもっとも強烈に告発してきた知識人は、ノーム・チョムスキーをおいて他にはないだろう。誰にとってもメディアを敵に回すのは恐ろしいことだ。しかし、チョムスキーは(少なくとも表向きには)まったく意に介さない。彼は常に真正面から、政権とメディアの癒着と欺瞞について告発してきた。

残念なことながら、チュムスキーの告発はすでに、警鐘の段階を越えている。ベトナム戦争以後、一時的な改善はあったとしても、メディア・コントロールは全体としてさらに酷い方向に進み続け、「平和」という言葉でごまかされた「侵攻」が、今また起ころうとしている。そして、日本人として何より悲しく、恐ろしいのは、チョムスキーが告発し続けてきた「メディア・コントロール」という病に、日本はすでに「感染」し、ついに「発症」しようとしていることだ。

チョムスキーは、「メディア・コントロール」と戦えるのは知識人ではなく、市民だという。実際、米国ではベトナム戦争湾岸戦争への反対活動は、知識人ではなく、市民から生まれてきた。チョムスキーのこの指摘を見て、日本人として最悪だと思うのは、メディアを巻き込んだ米国政府の暴走を食い止める役割をになってきた市民の意識が、日本ではまだ十分育っていないことだ。

戦後、日本は米国の後追いを続けてきた。であれば、米国の抱える根本的な課題もまた継承する運命にある。政府とメディアの闇に少しでも光を照らす、「市民の覚醒」についても一刻も早く米国を後追いしなければならない。


少し長くなるが、作家、辺見庸によるチョムスキーへのインタビューから、ブッシュ大統領が一般教書演説で「悪の枢軸」という表現を使ったことについて質問した箇所から、一部を引用しておく。

ブッシュ大統領はおそらく、「枢軸」の何たるかを知りもしないでしょうね。しかし演説原稿を実際に起草するライターは知っています。北朝鮮とイランとイラクの関係が枢軸などではないことは十分すぎるほど承知している。(第二次世界大戦中の)東京とローマとベルリンの関係と同じではない。イランとイラクはもう20年も敵対関係にある。北朝鮮がこれに加えられたのは、ただほかのイスラム社会に、悪いことは何でも自分たちに押し付けられるという印象を持たせないようにするためです。だから北朝鮮が入ったんです。
 
 スピーチライターが悪の枢軸という表現を原稿に加えてブッシュにいわせたのは、国内の聴衆を意識してのことです。ジョージ・ブッシュのマネジャーは大変です。非常に厄介な問題に対処しなければらないんですから。政府が国民に対してやっていることに、アメリカ国民の注意が決して集まらないようにしなければならない。政府は国民に非常に深刻な損害を与えているのです。9月11日を冷徹にも絶好の機会として、国内の人々への攻撃を強めた。富裕層対象の減税や軍事費の膨張は必然の結果をもたらしています。例えば、一般の人々に対する社会政策費は削られている。これは、すでに限られたものでしかない社会援助をさらに痛めつける攻撃です。こうまで痛めつけられては、政策を維持することはできないでしょう。そういう事実から、国民の目を逸らしたい。(エネルギー会社最大手の)エンロンが税金を払っていなかったという事実から、国民の目を逸らしておきたいのです。

 エンロンの問題で肝心なのは、何年もの間税金を払っていなかった、それが問題なのです。なぜ払わずにすんだのか。政府が、金のある強力な企業が税金を逃れられる仕組みを作ったからです。そう、これもまた、権力者による一般大衆への攻撃です。いまの政府は以前にもましてたちが悪い。そしてまた政府は、今日の石油会社を利するためなら、明日の子どもたちが生きる環境を破壊してもまったく平気だという事実に、国民の注目が集まらないようにしたい。それがジョージ・ブッシュの政府なのです。孫の代に環境がどうなっていても意に介さない。今儲けることが大事なんです。

 しかし人々は意に介します。人々は孫たちに地球を残したい。だからこそ、政府はそこに注意を引きたくないんです。完全に逸しておきたい。ワシントンでは国民に対する大掛かりな攻撃が行われている。そこに人が目をむけないように、どこか別のところを向いていてほしい。どうすればいいか。恐怖に陥れればいいんです。人々をコントロールする最良の方法は恐怖を利用することです。だから、もしも我々を滅ぼそうとしている「悪の枢軸」が存在するならば、人々は恐怖に怯えて四の五のいわず、指導者のいうがままになり、指導者が人々にしていることにいちいち神経を尖らせることはあるまい、とこのようにかんがえているのです。


メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)

メディア・コントロール―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書)

金持ちになりたいのなら、人脈は邪魔かもしれない

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blogos.com


人間の価値観にはいろいろあれど、本心で「お金」を否定できる人はなかなかいない。つまり、貧乏にはなりたくない、金持ちになりたい、というのは、世の中のほとんどの人に共通する願望だ。

でもどうやって?

そのヒントを教えてくれるのが、この記事だ。


この記事によれば、「貧乏人は、1)人脈、2)狡猾さ、ズル、3)初期資本の存在などを重要視し、8)能力、才能、7)幸運、強運、6)努力などを軽視する傾向」にあり、「一方、金持ちは1)努力、2)学歴、資格、3)企業家精神、勇気などを重視し、8)人脈、7)狡猾さ、ズル、5)幸運、強運及び能力、才能に重きを置いていない」という。 


むむ、僕たちは日々、「ビジネスはまず人脈」というドグマを繰り返し聞かされているではないか。今まで信じてきた「真理」はどうなるのだ!?


「人脈」の正しい定義はさておき、この調査結果を見て、金持ちはそもそも「人脈」に対する考え方が違うのかもしれないと思った。


ただ知り合いが多い(SNSでいえば「友だち」が多い)ということが「人脈」ではないことは明らかだ。知っているけど何も与えてくれない人が100人いるより、深く付き合い、何かあった時に助けてくれる人が一人いたほうがいい。広さより深さなのだ。

たしかに、そういう深いつながりは、「人脈」と読んでいるものとは違うものかもしれない。いわゆる人脈は、成功の結果であって、成功の方法ではない、ということだ。人脈があるから成功するのではない。成功すれば人脈ができる。



もうひとつ別な解釈を。それは、人脈は目標の達成にとって、時にじゃまになるのかしれない、ということ。

多くの人と知り合うことで、自己の信念や独創性が弱まってしまう、ということもあるのではないだろうか。他人に助けてもらうために「他人の目線」に立ちすぎると、本来自分がやりたかったことを妥協したり、方向を変えたりしたりせざるを得ない。それによって、そのビジネスに対する「思い入れ」や「信念」が損なわれ、結果として大きな成功に結びつかない、と言えないだろうか。

とんがったアイデアを思いついたなら、自分ひとりでやるのが一番なのだ。


たまに、「いいアイデアが見つかったら絶対他人に相談するな。自分で一人でやれ」と言う人に出会うことがある。人間としては偏狭かもしれないが、実は成功への真理に気づいている人なのかもしれない。


誤解や盲目は、強力なエンジンになる。逆いいえば、誤解や盲目がなければ、「世間の目」に屈服するのが人間の本性なのだ。

森友問題が「下世話な問題」だからこそ生まれた失望と不信感

business.nikkeibp.co.jp


昨日の続きとして、もう少し。

この小田嶋氏による記事、今回の騒動の本質をズバリ言い当ててると思う。


そう、森友問題は下世話な問題だ。

そんな下世話な問題に、強弁と隠蔽とはぐらかしを重ね続け、自分で墓穴を掘っていく政府への失望と不信感。それこそが、この騒動から一般人が感じる、正直な感想だと思う。


この政府は、こんな「小さな」問題にも慌てふためき、落ち着いて処置できないのか、という失望。

この政府は、他のももっと重要な(すなわち「下世話」ではない)問題でも、トップ官僚・メディアとグルになって、ずっと嘘をつき続けてきたんだろうな、という不信感。



昨日も書いた通り、この問題の焦点はある時点から、教育方針とか100万円の寄付とか国有地の不明瞭な払い下げとかじゃなくなったわけだ。

問題の本質は、こんな政府・官僚がトップで政治を行っていて大丈夫なのか?という疑念と不安なのだ。

少なくとも、この政府には安全保障やテロ対策、外交なんて怖くてまかせられないよね、まかせちゃだめでしょ、と言う、ある種の「確信」が一般庶民に生まれてきている。それが、この騒動の「成果」だろう。


その意味では、森友問題はもはや、下世話な問題じゃないのかもしれない。

「たったひとりの国家公務員(昭恵氏付職員)に森友事件の全責任負わせる卑劣な安倍政権」にまったく同感

森友問題、そして籠池氏の証人喚問。最初はたいして関心なかったんだけど、最近はメディアの報道で「切り貼り」されたものは信用できないので、ナマのやり取りを観て自分で考えたいと思った。それで、籠池氏の証人喚問を録画して、ほぼ全部のやりとりを観てみた。

もちろん、一人の証人喚問を見ただけで、事件の真相はわかるものではない。謎はますます深まるばかりだし、おそらく籠池氏にも落ち度はあるのだろう。

ただ、やり取りの全体を観て、そういう喚問の本筋とは少し違うところで、強く印象に残ったことがある。というか、ものすごく怒りを覚えたことがある。


それは、現場で(おそらくは上司の指示の下)忠実に職務を果たしている現場の公務員に、平然と全責任を負わせる総理と官房長官。そして、同じ公務員が切り捨てられるのを観ながら、抗議することもなく、ひたすら自分と自分の組織の保身に走るトップ官僚たちだ。

これは酷い、酷すぎると思った。ブラック企業より、はるかにブラック。


籠池氏がおかしなことをやっていようが、大阪府知事が関与していようが、民進党があいかわらず頼りなかろうが、それらとは別の問題として、あのような政府・トップ官僚に、安全保障やテロ対策を絶対任せてはいかんわ。ブラック企業の規制より先に、自分たちを規制し、処罰してほしいわ。

過労死やパワハラは、こういう人がいるから起きるんだよ。そういう人たちがトップにいるんだ、この国は。そりゃ、日本は息苦しくなるよ。


毎日、それぞれの現場でそれなりに働いている人なら、とりわけ、上司の指示や顧客のクレームを真摯に聞いて、誠意を尽くして頑張って働いている人ほど、憤りを感じるはずだ。あの証人喚問を、変な色眼鏡をかけずに素直に観れば。


それでも現政権を応援している人たちは、とにかく総理を擁護するのだろう。でもね、あの証人喚問の一部始終をしっかり観て、一人の人間として考えてほしい。

今回彼らは、ノンキャリアの官僚の人権なんてどうでもいいというメッセージを、国会の場で堂々と発したのだ。ましてや、僕たち一般人のことなど、真面目に考えているはずもない。



「あれは谷さん個人でやったことだ」と信じる心の底からナイーヴな人には、いくら言っても仕方がないことかもしれないけどね。


ということで、下の記事にはまったく同感。


blogos.com



籠池氏証人喚問

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雑感2017年2月

2.1

"グーグルは、コレマツ氏の「何かおかしいと感じたら、声を上げることを恐れてはいけない」という言葉とともにコレマツ氏の生涯を紹介した。"
Googleがトランプ大統領令に対抗? 検索トップに掲載した日系人の生涯とは


2.5

「高度産業テクノロジーが進んだ結果、人々が毛皮をまとい、森にベリーを摘みに行くような原始的民主主義の社会が生み出されるだろう。より人工的になった環境は、不思議なことにより自然に近づくのだ」
現代に生きる僕たちは、誰もが少なからず疑問を感じながら、生き方を模索しているのだと思います。
単純な懐古主義でもなく、先端テクノロジーに振り回されるのでもなく、社会や技術の発展を前提とした上での、現代における「中庸」を追求したいものです。

シリコンヴァレーと仏教。いま「ブッダの食生活」に学ぶこと|WIRED.jp


2.5

現代社会が抱える問題のすべてに、メディアの問題が関係すると言ってもいいと思う。

メディアは、資本主義と民主主義の両立の鍵となる機関だ。メディアは支配や被支配に直接関与してはならない。専制国家に戻らないためには、「健全な」メディアが不可欠だ。なにをもって「健全か」ということは議論されてもいいが、その根幹には、民主的な考えが必須だ。そうでなければ、メディアは必要ない。

「フェイクニュース問題」はどうやって解決すればいいのか?|WIRED.jp


2.5

トランプ大統領の思想には同意できない部分は多いが、司法や民意に対して正々堂々と問題を提示し、正当な議論を戦わせる権利は認めるべきだ。民主主義が機能しているから、今のアメリカの問題がおきている。
アメリカの現状は好ましいものとは言わないが、司法も憲法を無視し、本質的な議論を避け、詭弁をもってやりたいことをすすめる政府よりははるかにいい。そんな幼稚で、全近代的な政府よりは。

https://mail.google.com/mail/u/0/?tab=cm#inbox/15a0c54f96aa6e77トランプ大統領が招く「憲法の危機」 入国禁止令を停止した裁判官をTwitterで攻撃


2.5

ベーシックインカムは、いまひとつよくわからない。減税や公共料金の無償化と根本的に違うことがあるのか。あるとすれば、「お金をもらえる」という心理的なファクタか。

新しい社会のあり方を模索 —— サンフランシスコでベーシックインカムの実験が始まる | BUSINESS INSIDER JAPAN



2.6

いわゆる「ポスト真実(Post Truth)」問題。そんなやわらかい言葉はそぐわないほど、大きな問題だとおもう。政治だけじゃなく、科学、そして生活のすべてが影響される。半知性主義が世界を滅ぼす。

courrier.jp



2.6

いろいろと世の中の根本的な(とされている)ものごとに疑問を持ちがちな今日このごろ。「そもそも労働時間とは何か」「そもそも雇用とは何か」「いや、そもそも労働とは何なのか」とどんどん疑問が発散してしまう。
世の中、原則、みんな自営業になったほうがシンプルでいい、と思っています。

なぜ「1日8時間労働」なのか 「社会人破綻してない?」に賛同相次ぐ | ニコニコニュース


2.7

昨日の投稿に関連して、こういう研究会があるようです。中は見ていませんが、興味ある方のご参考に+自分のメモとして。

第3回「雇用関係によらない働き方」に関する研究会を開催しました(METI/経済産業省)

www.youtube.com


2.8

思えば、可視化の仕事をやり始めた頃、Hans Roslingさんのエネルギッシュなプレゼン動画に大きなインビレーションをもらいました。この人こそ、データ可視化の伝道師。
Roslingさん、ありがとうございました!天国でもエネルギッシュにやってください!

The best Hans Rosling talks you’ve ever seen | Playlist | TED.com



2.8

What is the most difficult word to translate ? How do YOU think?

One of the most difficult words to translate... - Krystian Aparta | TED-Ed



2.8

When reading an article, I came across a phrase "a bicycle for our minds" which I didn't understand the meaning of. So, I googled the phrase and found this movie.
Thanks for the digital age we live in.

Steve Jobs, "Computers are like a bicycle for our minds." - Michael Lawrence Films - YouTube



2.8

The merging of humans and machines is happing now.
(I think Japanese government wants to develop advanced technologies so quickly and powerfully that they authorized a pretty much budget for technological research in military field more than ever before. But I don't think money solves the problem. Before distributing money, they should build a powerful research organization, in a sense, like DARPA, though I'm not for military research activities in general.

How DARPA is creating the impossible | Arati Prabhakar - YouTube



2.12

シャドウ・ワークの問題は、一見逆のよう見見えるが、実は現代の「アウトソーシング過多問題」とつながっているのではないか。もう少し考えてみたい。

courrier.jp



2.15

巨匠オリバー・ストーンが語る「サイバー戦争とオバマ時代」|映画『スノーデン』来日時インタビュー | クーリエ・ジャポン



2.16

いつから、家庭で教えるべき「道徳」を、学校に丸投げするようになっちゃったのかね。いじめは、本人どうしと親・家族で解決すべき問題で、先生はそれを助けるのでいいと思います。
とにかく、現代人は、仕事から家庭まであらゆるものを「アウトソーシング」しすぎ。それが現在の混乱や衰退を招いたと思うのです。

「いじめの責任はこの人が取るべき」会場を驚かせた武井壮の言葉に、共感の声 – grape [グレイプ]



2.21

(とある場所でのつぶやき)
"post truth"なる言葉、うまい表現だと思うけど、ビジネスではずっと前から"Post Truth"だらけだよ。その根底には、実際の品質より、イメージのほうが大事という「広告主義」があると思う。

実際、最近(でもないか)は広告代理店が政治に深く入り込んで、選挙も商品広告も変わらないようになってる。イメージさえ良ければ、物は売れるし、当選もする。
トランプ大統領のことはもちろん賛同できないけど、メディアや市民が対峙する姿勢があるのは、やっぱり民主主義が機能した国だと思う。

それに引き換え日本は、メディアも企業も(広告代理店を通じて)政府に取り込まれているから、健全な議論がおこらないのだと思う。政治家も、経済と雇用がよくなると言い続けていれば国民はだまってる、と思ってるんだろうな。

まったくもって後進国だよ!

雑感2017年1月

2017.1.1

ただ一つねがうことは、弱者を思い、平和を愛する人が上に立つ国であってほしい、ということ。

市民にとって、右翼や左翼、保守や革新など関係ない。ましてや一政党や政治屋に翻弄されるなんて馬鹿げてる。国益や立場なんて言葉は本質をおおい隠す、便利なごまかしだと感じる。

目先の小さな利益ではなく、もっと大きな本当に大事なものを見極めていきたい。そういう態度を持つ市民が増えれば、社会は少しでも良くなると信じて。たとえ今はまだ無知で、微力でも。

天皇が「主権回復の日」に「沖縄の主権は回復されてない」と異議を唱えていた! 安倍政権に奪われる天皇の発言機会|LITERA/リテラ



1.1

Happy new year!

2017は素数=プライムナンバー。みんなにとって、ハッピーでプライムな一年になるように!

Thanks for your smiles!


1.2

この年末年始は東京で迎えることに。

この時期、普段人のいないところが混んでいて、いつもは人通りの多いところが静かだったりするのが面白いですね。
そして、東京って、思ったより、古いものがそのまま残ってる。

都会の中で一瞬、タイムスリップしたような錯覚に。

Nostalgic twilight in Tokyo, on the first day of 2017



1.5

これはいい!(けっこう真剣にこの記事を開いたので、その衝撃は大きかったが…笑)

バグなどの謎の現象に立ち向かうも闇が濃く、どうしても沼から脱出できない時に見るフローチャート - Thanks Driven Life



1.10

夜の商店街。一人の男性が道端に、うつ伏せに倒れていた。近寄って声をかけると、何かにぶつかって倒れたのだという。そう話す男性は、少し酔っ払った感じで、口から血を流していた。

商店街の道。駅から家路を急ぐ人たちがたくさん通り過ぎていった。僕の前に歩いていた人はだれも、この道端に倒れた男性に声をかけなかった。僕がしゃがみこんで男性と話している間も、人々は通り過ぎるだけだった。

夜の11時から、みんな早く家に帰りたいのだろう。声をかけたところで何の助けにもならない、と思っていたのかもしれない。


でも、それでいいのか。


今の世の中は、けっして望ましいものではないと思う。でも、その「失敗」について責めるべきは、政治家だけでも、企業経営者だけでもない。考えなければいけないのは、世の中で現実に起きていることへの無知や、たまたま弱い立場に置かれている人たちへの無関心だ。責めるべき相手には、自分自身も入っているのだ。認めたくはないけれど。

「自己責任」という言葉は好きではないが、現在の姿を的確に表現している言葉なのかもしれない。



1.12

やっぱり、とても気になります…。

やらされる15歳 数学への関心「世界最低」


1.22

「田舎の力をバカにしてたよね」 なぜトランプが当選したのか、パックンが語る“日本人の知らないアメリカ”



1.24

僕はある時期から、トランプという人物に対して、「半分賛成、半分反対」と考えるようになりました。

それは「賛成・反対のどちらでもない」とはまったく違います。ある部分はとても憎悪し、ある部分は積極的に支持したい、という複雑な、考えというより、感情といった方がいいかもしれません。

このことは、今までの思考軸で考えていては、今起きていることは理解できない、ということを意味していると思います。

今、僕たちが得ている情報は、すべて何らかのフィルターを介していると考えたほうがいい。それはどうしようもないことだけど、少しでもいい社会にしたいと思うなら、個人が自分自身で感じ、考える力を高めるしかない、と思うのです。

「トランプ大統領、悪くない」 オリバー・ストーン監督:朝日新聞デジタル


1.31

スターバックス、大統領令に対抗「難民1万人を雇用します」

ニーズを捏造する「広告主義」から脱却せよ

wired.jp

今日、2017年1月3日、WIRED日本語版に、若林編集長の強烈なメッセージが掲載された。タイトルにある「『ニーズ』に死を」という言葉。単なるアイキャッチではない。若林さんは、現在のメディアのあり方に、本気で戦いを挑んでいる。少なくとも、僕にはそう思えた。


『ニーズ』なんて言葉は、錬金術にすぎない。


若林さんは、そう言い放つ。

若林さんの言葉に、そう、その通りだ!と直感的に同意した人たちは少なくないだろう。

僕もその一人だ。そして、この刺激的な文章を読みながら、「ニーズ主義」の裏にある「広告主義」について考えていた。


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ビジネスにおいて、「何事もまず『ニーズ』から」という「信仰」は、けっして新しいものではない。しかし、それが、本来の枠を越えて強く唱えられ始めたのは、バブルが崩壊した1990年代からではないだろうか。高度経済成長を続けてきた経済が頭打ちとなり、その「断末魔」であったバブルがはじけて、それまで「ジャパン・アズ・No.1」と言われるほどに世界の経済の中心に躍り出た日本人は自信を失いつつあった。

そんな中で唱えられ始めたのが、「作り手中心の考えではだめだ」という「真理」だった。「作れば売れる」時代はもう終わったのだ。これからは消費者のニーズをくみ取り、ニーズにあった製品・サービスを提供することが正しいのだーーーーーそんな主張が世の中を席巻し、まるで天空から垂れ下がった蜘蛛の糸のように、誰もが飛びついた。


そのような中で、それまで経済を引っ張ってきた製造業に代わって幅をきかせ始めたのが、メディアと広告代理店だ。


マーケティング」と称する、一見合理的に思えるが、分析しやすい、事実のほんの一部だけを取り上げ、誇張するスキルが崇拝されるようになった。「作り手の勘と経験」なるものは、悪しき旧弊とされた。

そして、広告の役割は、それまでの製品・サービスの知名度を向上させるという補助的なものから、一般大衆の中に新しいニーズを作り上げる、積極的なものへと変わっていった。「ブランディング」や「カスタマーロイヤルティ」などという、耳障りのいい言葉を次々と並べながら。


それ以降、誰もがニーズを作り出すことばかりに目を向け、製品やサービスの品質はないがしろにされ、控えめに言っても、以前に比べると軽視されるようになった。世の中全体が「広告主義」というドグマに陥ったのだ。そして、それは、今でも続いている。


しかし、というか当然というべきか、「広告主義」に陥った日本の経済はバブル崩壊後も低迷を続け、一般大衆の閉塞感は重くなる一方だ。それでも「広告主義」を否定するものはほとんどいなかった。なぜなら、「広告主義」の主導者たちーーーマス・メディア、広告代理店、そしてそれらに資金を提供する大手企業ーーーは、情報を通じて、人々の心を操作できる。たとえ、それが社会全体にとって良いことではないと感づいていても、自分たちに利益にあることであれば、手放すことはない。「ニーズを作り出すことが最重要」というドグマを支持させる、自分たちの利益となるニーズを、彼らは永遠に作り出せるのだ。


世の中の「賢い」人々が、ただニーズを生み出すことだけに奔走する社会から、未来を変えるようなイノベーションが生まれるはずがない。自分たちで創り出した(捏造した)ニーズから、新しい価値は生まれることがないのは明らかだ。


「広告主義」に携わる人々は、さもイノベーションがおきたように「飾りつける」スキルには長けている。しかし、彼らの見識は常に「後追い」であり、「使い捨て」することが彼らの利益を生む。

僕が言うまでもなく、真のイノベーションは「作り手」と呼ばれる人たちーーーーーメーカーや技術者、研究者、芸術家などーーーーーからしか生まれない。(ただ、付け加えるならば、いわゆる第3次産業の中にも「作り手」と呼ぶべき素晴らしい人たちはたくさんいる。どんな分野であれ、新しい価値を創り出そうという「メーカー・マインド」を持っている人たちは「作り手」であり、イノベーションの担い手になる。)



少子高齢化が進む日本で、昨日より良い明日を作ることは、簡単ではない。人口減少が間違いなく進む国で、経済を盛り返すのは、並大抵の努力では無理だろう。しかし、たとえ衰退の道を進もうとも、常によりベターな選択は存在するし、考え続け、行動を起こすことで、やってくる衰退を少しでも遅らせることはできる。


その選択の第一歩は、架空のニーズを生み出すまでに行き過ぎた「広告主義」から脱却することだ。そして、僕たち一人ひとりが、自分自身の知識や経験から産まれてきた自由な発想を大切にし、それを人々と共有し、現実の世の中で具現化していくことだ。それは、誰もが「作り手のマインド」を持つことだと言える。

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若林編集長のオピニオン記事には、1日で5000以上もの「いいね」がついた。ネットにアクセスする人が少ない正月休みに、これだけ多くの人が支持したことには、救いを感じる。多くの人が、「ニーズ主義」の胡散臭さに気づいている。

僕たちが今、乗っている船はあまりに巨大で、その方向はすぐには変わらないかもしれない。しかし、今、向かっている方向はおかしいぞ、と気づき始めた乗客は増えている。「作り手」としての意識を持つ人たちが一定数を超え、ほんとうの意味でのニーズが喚起されれば、僕たち一人ひとりの手で、世の中を作り変えられると信じている。